新潟には、人や社会、環境に配慮した優しい選択に出合えるお店があります。エシカル・コンシェルジュの資格を持つ編集者・松永が、そんなエシカル(倫理的な)消費を暮らしに取り入れられるお店を「新潟エシカル案内」としてご紹介します。
最初に訪れたのは、JR三条駅近くで営業する「chinoショップ」。
道行く人が気軽に手を振りながら通り過ぎるその店は、形を変えながらこの地で110年にわたって営業してきました。現在は、食材や調味料、洗剤、生活雑貨などを量り売りで販売する、ゼロ・ウェイストを目指すショップです。

店を営むのは、三条市出身の知野幸一さん、イタリア出身のエレナさんご夫妻。体調を崩したことをきっかけに化学的なものを極力避け、自然に寄り添う暮らしを実践するなかで、「こんなものがあったらいいな」と思うものを少しずつ店に並べてきました。
扱う商品は、夫妻自身が使っているものや、自分たちで作ったものが中心。店は単に商品を買う場所ではなく、自然な暮らしを知り、試してみるための「入り口」でもあります。
必要なものを、必要な分だけ

「chinoショップ」の大きな特徴は、食品や洗剤などの量り売り。必要な分だけ購入できるため、無駄や包装ごみを減らせます。

量り売りには、空き瓶や袋など、おうちにある容器を持参するのがおすすめ。もし忘れてしまっても、有料の容器や無料のリユース容器があるので、気軽に買い物を楽しめます。

自然由来のものは「高い」と感じることもありますが、知野さんご夫妻は直接仕入れたり、パッケージやブランドにかかる費用を抑えたりすることで、無理なく続けられる価格を大切にしています。
「おいしい」「使ってみたい」から始めよう

店には、知野さん夫妻が育てた米やハーブ、日本ミツバチの蜂蜜のほか、新潟県産の生揚(きあ)げじょうゆなど、地元で生まれた良品も並びます。

見せてもらったのは、年に一度しか仕入れられないという貴重な佐渡産乾燥ワカメ。サラダや味噌汁に加えるだけで、気軽に味わえる一品です。

私のお気に入りは、オリジナルブレンドのチャイ。存在感のあるスパイスが香り、ホットでもアイスでも、ゆっくり味わいたくなるおいしさです。
「環境にいいから選ぶ」だけではなく、「おいしいから」「使ってみたいから」。そんな気持ちが、エシカル消費の入り口になってもいいのです。
「地球は強い」。だから、私たちはどう生きる?

環境問題について話していたとき、エレナさんが口にした言葉が印象に残りました。
「地球は強いんだよ」
人間が環境にダメージを与えても、地球そのものがなくなるわけではない。人間がいなくなれば、そこにはまた動物が暮らし、自然が巡っていく。
だからこそ、考えなければならないのは「地球を救うこと」ではなく、私たち人間がこれからもこの場所で生きていくために、どう暮らすかということ。

量り売りで買ってみる、必要な分だけ食材を選ぶ……
そんな小さな選択も、暮らしを見つめ直す一歩です。

「これ、いいな」と自分で感じて選ぶ。その積み重ねが、これからの暮らしの形をつくっていくのかもしれません。
そして、「chinoショップ」の在り方は、これからも変わり続けます。ご夫妻の頭の中には、店内にカフェスペースをつくる構想や、洋服の草木染めをしてみたいという思いもあります。

決まった形にとどまらず、その時々で感じたことを実践しながら、新しい暮らしの形を探していく。
「人間は変わるし、自然も変わる。だから、やっていることも考えていることも変わります」
変わっていい。迷ってもいい。
その時の自分にできることを選びながら、暮らしは少しずつ形を変えていく--
自分らしく生きるとは、決まった答えを探すことではなく、その時々の自分で選び続けること。chinoショップの営みには、そんな暮らしのヒントが詰まっていました。

DATA
住所|三条市南四日町1-13-5
Instagram|@chino_1915
備考|来店前にInstagramのDMから連絡を入れるのがおすすめです。
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