iPhoneの中に、無数に並んだ子どもの写真たち。
下の歯が生えた日や、初めてアイスを食べた「むふふっ」な表情。何気なく見返すと、記憶の奥から無邪気な声がよみがえり、心がじんわりと温かくなります。
撮っていなければ、きっと忘れてしまっていた。何気ない日常にも、宝石のような瞬きがある。そのことを教えてくれたのが、新潟市を拠点にファミリーフォトを撮る「ARUHINOKOTO(ある日のこと)」の溝口晴香さんです。
学生時代から写真を撮ることが好きだったという晴香さん。友人との帰り道や、何かに一生懸命向き合っている横顔など、日常の一瞬を切り取ることに、自然と心が向いていました。
「昔話や童話も、『ある日』から始まることがありますよね。ハレの日もすてきだけど、名前のついていない日も、振り返ると特別だったりする。そんな日を残したくて、屋号を『ある日のこと』にしました」

子どもの誕生の記録であれば、主役の赤ちゃんだけでなく、そばでほほ笑む家族の表情も一緒に残します。
「お子さんの未来に届けるような気持ちも込めて撮っています。将来、写真を見て『こんなふうに愛されていたんだ』って、目に見える形で伝わってほしいと思います」

晴香さんは自身のことを、カメラマンというよりも“家族のキロク係”に近い感覚だと言います。場を包んでいる空気やあふれ出す感情も、まるごと残せる一枚を撮りたい。そんな想いで、シャッターを切っています。

自身の子育てのなかで残しておいて良かったと話すのは、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に写っている写真。並んで座っているところ、散歩に行く後ろ姿。写真があれば、あの頃に戻れます。
そしてもう一つが、幼い頃のちょっとした仕草や癖。
「子どもって、昨日まで当たり前だったことを突然やらなくなったりしますよね。こまめに撮っておけばよかったと、今になって思います(笑)」
そんな晴香さんに、日常写真を撮るコツを聞いてみました。
「アップだけではなく、一歩引いたパターンを撮ってみるのもおすすめです。部屋の様子、お気に入りのぬいぐるみ、そばにいる人。広く写っていると、見返したときに『ああ、この頃こんな感じだったね』って、思い出せるので」

新潟だからこそ、四季の移ろいも日常の一つ。春は桜の下へ、冬は雪山へ。初めて海で遊ぶ日も、大切な「ある日」です。一緒に遊びながら撮ると、子どもたちの生き生きとした表情が自然と引き出されます。
子どもと同じ目線で楽しむことは、晴香さん自身が子育てをする上で大切にしていることでもあります。最近始めた畑や、娘さんがハマっている釣りも一緒に。大変なこともあるけれど、どうせなら楽しい方がいい!そう笑って話してくれました。
「人生でいつが一番幸せかと聞かれたら、今です。
それは、娘がいるから。好きが増えた、という感覚がありますね」
一緒に楽しみながら、何枚も重ねていきたい日常の愛の記録。
今日も家族の宝箱の、かけがえのない「ある日」となりますように。

DATA
ARUHINOKOTO/ある日のこと
新潟市を拠点に2020年から活動。ロケや自宅など出張撮影に対応しており、シーンや目的に合わせたプランを用意。現在は期間限定プラン「授乳・ミルク・ごはんのキロク」が登場。撮影会やプランの情報はホームページやInstagramでチェックを。
Web https://aruhinokoto.photo
Instagram @aruhinokoto.photo